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(御歴代上人の日精上人の御徳顕揚。)

一、平成二年以来、貴殿は時局協議会文書作成班一班(以下「時局班」と呼ぶ)なるものに幾度も日精擁護の文書を繰り返し作らせてきた。平成三年九月、平成五年二月、そして平成九年十一月と実に三回も機関紙誌に発表させている。日精の謗法問題の釈明についての貴殿の異常なる執着ぶりは宗内にも広く知られている。貴殿が日精に親近感を懐くあまり、歴代法主では考えられないほど突出して日精を擁護しているとも喧伝されている。
 これについては、むしろ貴殿が日精をかばわざるを得ない理由があるとしか考えられない。
 その一つは、日精の法主時代の謗法を認めれば、貴殿が言う法主絶対化が崩れるからであると思われるが、どうか。

 貴殿は、貴殿が日精に親近感を懐くあまり、歴代法主では考えられないほど突出して日精を擁護しているとも喧伝されている。これについては、むしろ貴殿が日精をかばわざるを得ない理由があるとしか考えられない≠ニ言うが、盲滅法の邪推もいい加減にせよ。日寛上人は日精上人によって出家を志し、大石寺の寂日坊と久成坊に、御自分の書写ではなく、日精上人の御本尊を造立安置されている。これ以上の尊信・渇仰恋慕があろうか。また、日量上人は、『続家中抄』において、
師天性聡敏にして学を好み頗ル大量有り、(中略)諸堂塔を修理造営し絶を継き廃を興す勲功莫大なり、頗る中興の祖と謂ふべき者か。(富要五―二六七頁)
と仰せである。これは最大級の讃辞である。さらに御先師日達上人も、
日精上人より日寛上人まで九代約八十余年は本宗の教学振興、堂宇構築等宗勢隆盛の頂上であった。(日達上人全集第一輯五―三四一頁)
と江戸時代における宗門隆昌が日精上人に始まると讃歎の御指南を遊ばされている。このように御当代日顕上人以外の御法主上人の御指南にも、厳然と日精上人の御事蹟を顕彰遊ばすお言葉が存するではないか。従って貴殿らの主張は、全く信用できないことが明らかである。
 日顕上人が御歴代上人の中で、特に日精上人の正義顕揚の御指南を遊ばされるのは、貴殿らごとき新参の異流義である創価学会の者共が、御登座以後五十年の長きに亘り、御当職として、また御隠尊として、宗開両祖の血脈を護持され、さらに門下の教化育成、布教興学のための著述、諸堂宇の建立整備等、疲弊していた宗門の復興に多大な業績を残された日精上人の御事を罵詈讒謗しているからにほかならない。これは、日興上人の五老僧破折、日寛上人の広蔵日辰破折、日応上人の驥尾(きび)日守破折等に代表される、時々における御法主上人の謗法破折と同意であり、時局文書も、まさに日顕上人の創価学会破折の御意を受けたものである。しかしまた、それは同時に日精上人の正義顕揚と表裏一体の意義をなすものである。
 さらに貴殿は、日精の法主時代の謗法を認めれば、貴殿が言う法主絶対化が崩れる≠ニ言っているが、何度も言うように日精上人に謗法はない。また日顕上人が、いつ法主絶対≠ネどと言われたのか。あるなら出してみよ。そのような発言は金輪際存在しない。存在しないものである以上、崩れる≠アともない。よって、貴殿らの疑難は論理上完全に破綻していると言っておく。

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